君は?

仕事はうまくいっていた。それでもやりたい事があった。
辞表を書いたのが28歳。サラリーマン時代に貯めた100万円を手に、家に独りこもって曲作りに没頭した。自分は天才だと信じる心と、もしかしたらダメかもしれないという心の間で揺れた。
それでも曲を書き続けたのは、自分には音楽しかなかったから。30歳でデビュー。業界の常識では考えられない遅すぎるデビューと言われた。
あれから10年。
ぼくは歌う。君は?
 
ぼくも歌う!…みたいな。
電車の中で上司の機嫌を伺いながら「こんな事をしたいんじゃない」と思っていたときに目に入った車内広告。
ちょっと泣きそうになったのはナイショだ。